オープン診療システム

消化器関連の診療

症状のある方

胸焼け・むかつき・腹痛など消化器症状・腹部症状があれば、消化器の異常を念頭に診療を行います。一見消化器症状に思えても、他領域の疾患が原因のことも珍しくありません。その逆もあります。

症状に対して疾患を思い浮かべるとき、思い込みは禁物です。


まずは、重症度・緊急度の判断が大切

まずは、重症度・緊急度の判断が大切です。後手に回ると命に関わる病態、致命的ではないが生活に支障をきたす病態・医師の手を借りなくても短期間で自然に治癒する病態など重症度は様々です。診療の当初は、早急に治療を要する重篤で緊急性のある病態かどうかを判断することが大切です。

見逃してはならないのが ‘がん’

死亡原因の第一位を占める‘がん’(悪性新生物)は、見逃してはならない重要な疾患です。‘がん’に特徴的な症状があるわけではなく、進行しても無症状あるいは些細な症状で経過することがしばしばです。症状から‘がん’を疑う場合はもちろんのこと、そうでなくても機会を捉えて検査を行うことが早期発見につながります。

検査を行っても症状を説明できる異常が見つからない(機能性消化管障害)

消化器症状が継続的あるいは断続的に現れるのに、‘がん’でもない、潰瘍でもない、検査で原因が特定できないという場合がしばしばあります。その多くは機能性消化管障害と呼ばれる病態です。日常外来で最も頻繁に診られる病態です。その原因は複雑です。消化管運動の異常・内臓の知覚過敏・心理的ストレスなど複数の原因が関係しているものと思われます。体と心は表裏一体、精神的な不調が消化器症状の原因となることもしばしばです。個々に原因を特定し、治療に結びつけ症状を解消することは容易ではありません。

機能性消化管障害の診療で大切なこと

  • ‘がん’などの重要な疾患を除外するために必要な検査を行うこと
  • 重症化するような病態ではないことを理解し安心していただくこと
  • 生活習慣の改善・ストレスの軽減を図ること
  • 症状改善を目的に薬剤を試すが、効果が無ければ継続しても無意味であること


既に検査の異常・疾患を指摘されている方

既に診断されている疾患や健康診断で指摘された異常について、疑問や不安をお持ちの方にお応えします。


健康診断(人間ドック)で異常を指摘された場合

健康診断の検査結果は、項目別にA・B・Cなどとランク付けされ一覧表で示されることが多いようです。その際、異常や所見が何を意味するのかについて、十分な理解がないまま、安心したり不安を抱いたり、そして事後の対応が不適切な場合がみられます。健康診断は疾患の早期発見に役立つ一方で、 無用の不安や過剰な診療のきっかけを作る難点があります。健康診断の結果をご持参いただければ 、不安や疑問にお応えします。検査結果の意味するところをご説明し理解していただければ済む場合、二次検査・精密検査が必要となる場合、経過観察が必要となる場合などがあります。

健康診断でしばしば指摘される消化器関連の異常

血液検査で貧血を指摘された
貧血がきっかけで、しばしば胃・大腸がんが発見されます。

肝機能に異常がある
項目が複数ありおのおの意味することが異なり、肝機能異常を来たす病態は様々です。

便潜血検査が陽性となった
便潜血検査のターゲットは大腸がんです。陽性となれば内視鏡検査が必要です。

胃透視検査で所見がある
粘膜不整やポリープなどが指摘されます。内視鏡検査による精密検査が必要です。

超音波で膵臓に所見がある
腫瘤や膵管拡張が指摘されることがあります。まずは腫瘍性病変であるかないかの判断がポイントです。

超音波検査で胆石が見つかった
多くは胆嚢内の結石です。症状がなければ経過観察が原則です。


特定の病気のことを心配している方

健康に関する情報は世の中に氾濫しています。それらを日常生活に巧く役立てることは、難しいことです。そして、過剰な健康志向は、次々と健康不安を生み出します。症状の有無に関わらず、もしも何かのきっかけで、特定の病気を心配し不安を抱いているならご相談下さい。健康不安に応えることは、診療の大切な役割です。

肛門の診療

肛門疾患は概ね外来診察室で診断が可能です

肛門疾患の多くは、外来診察室で容易に診断することができます。
外来診察室では、必要に応じて直腸指診と肛門鏡検査を行います。

直腸指診
肛門から直腸に示指を挿入し診察する。

肛門鏡検査
簡単な道具を肛門から直腸に挿入し観察する。


「痔だと思っていたら直腸がん」という事態に注意が必要です

肛門疾患の多くは良性ですが、ごくまれに肛門がん・肛門周囲の皮膚がんなど悪性疾患がみられます。直腸がんは珍しい疾患ではありません。直腸がんと肛門良性疾患の症状が似ている場合があり 、‘痔だと思っていたら直腸がん’ という事態に最も注意が必要です。肛門に症状があると、 直腸がんではないかとの心配が生じます。出血があった場合にはなおさらです。 機会を見つけて大腸内視鏡検査を一度受けておけば、不安を除くことができます。


主な肛門疾患と治療の原則

痔核・裂肛・痔瘻が三大肛門疾患と呼ばれるものです。いずれも良性疾患で、多くの場合、‘治療は最小限、困っていなければ放置’ が原則です。日常生活に支障を来たしているような場合、放置すると急速に悪化するような場合に、治療を提案します。治療法の選択にあたっては、負担の少ない簡単な方法を選択することがポイントです。手術をしなければならないという事態は限られています。


当院外来で行う肛門疾患の治療

  • 痔核出血に対する硬化療法
  • 痔核脱出に対する硬化療法(ジオン療法)
  • 血栓性外痔核に対する血栓除去
  • 肛門周囲膿瘍に対する切開排膿
  • 裂肛に対する括約筋切開術


入院による肛門手術が必要な場合

腰椎麻酔または全身麻酔下に肛門手術を行う場合には、NHO栃木医療センター外科オープン診療システムを利用して、入院治療を行うことができます。このシステムでは、入院後の治療を当院院長が担当します。当院が入院を手配し入院日を決定、受診即日の入院そして入院日に治療が可能、入院前の病院受診は不要です。他施設での入院治療をご希望の方は、ご希望をお聞きし紹介いたします。肛門疾患に対する治療の方法・適応は施設による違いが大きいので、まず他施設で診察を受け担当医の判断を改めて仰ぐことになります。

がん関連の診療

診療所の特性を活かしたがん関連の診療

消化器外科医として基幹病院で長年‘がんの診療’に携わっていた経験を基に、診療所の特性を活かしたがん関連の診療を行っております。がんの診療は多くの場合、がん専門病院・大学病院・総合病院が拠点となって行われます。その際、病院と診療所が連携し、情報を共有し、各々の機能・特徴を活かして診療を行えれば、がん患者に一層利便が図れると思います。がんがたどる経過は長く、ご本人とご家族の事情に配慮した対応が求められています。

当院におけるがん診療の特長

  • 過不足のない検査を効率よく行い診断します。
  • 密度の高い外来診療でがん療養を支援します。
  • 身近な医師として疑問や不安に応え助言を行います。


消化器がんの診断

院内検査と連携施設での検査を活用し、がんを診断します。がんの疑いが指摘された時の大きな不安に対して、過不足のない検査を短期間に行い迅速に診断することを心がけます。がんの存在を診断するだけにとどめず、がんの性質や進行度を調べて病状を把握することで、治療方針を念頭に置いたその後の対応を助言することができます。がんがたどる経過は長く、仕事・家庭生活に少なからず影響を及ぼします。治療法を具体的に選択し実行するにあたっては、個別の事情・要望を最大限考慮した対応が求められます。診断結果に相応しい施設・医師についてアドバイスし、ご希望の施設・当院が連携する施設の中から紹介先を選択します。紹介先を受診する前に、病状と予想されるその後の診療についてご説明し、心の準備をしていただくことも大切にしています。

がんの診断

  • がんが在るのか無いのかを調べる。
  • がんの性質を調べる。
  • がんの進行度を調べる。


院内で出来る検査

  • 単純X線検査
  • 消化管X線透視検査(バリウムを用いた検査)
  • 消化器内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)
  • 腹部超音波検査


連携施設での検査

連携施設:済生会宇都宮病院・NHO栃木医療センター・星脳神経外科
当院が検査予約を取りますので事前の受診は不要です。検査結果は当院が入手し、当院外来で詳しくご説明します。

  • CT
  • MRI
  • PET


消化器がんの治療

がんの治療では、がんの性質と進行度に応じた治療(下記)を選択することが大切です。早期であれば、如何に負担をかけず治すかが課題となります。進行癌は根治の可能性があるなら、相当の負担がかかっても積極的な治療を模索します。治療方針を決断するのは担当医と患者の協働作業です。

  • 早期がんに対する縮小手術・内視鏡治療
  • 進行がんに対する拡大手術・集学的治療
  • 末期がんに対する緩和ケア


当院で出来る治療

胃・大腸早期がん内視鏡治療
小病変の場合は外来で日帰り治療を行います。

外来化学療法
ケアルーム(個室)を用いて行います。連携病院主治医の指示に従って行う場合と当院で策定した治療計画に基づいて行う場合があります。

往診
時間帯に制約がありますが往診も可能です。


NHO栃木病院外科オープン診療システム

NHO栃木医療センター外科オープン診療システムを利用することで、当院院長が入院を要する内視鏡治療・手術を担当し、継続的に診療することもできます。このシステムでは以下の対応が可能です。

  • 当院が入院を手配し入院日を決定、受診即日の入院が可能、入院前の病院受診は不要。
  • 当院院長が入院後の内視鏡治療・手術を担当。
  • 当院で諸検査を行い治療方針をご相談し決定するので、入院後は速やかに治療に移ります。